令和5年税制改正は凄い!中小M&Aの後押し~オープンイノベーション促進税制と経営資源集約化税制の見直
オープンイノベーション促進税制は事業会社やCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)からスタートアップ企業への出資を加速させる目的で、2020年(令和2年)税制に創設された制度です。そもそもオープンイノベーションとは何でしょうか。2016年7月に公開された「オープンイノベーション白書(初版)」によると「組織内部のイノベーションを促進するために、意図的かつ積極的に内部と外部の技術やアイデアなどの資源の流出入を活用し、その結果組織内で創出したイノベーションを組織外に展開する市場機会を増やすこと」と定義されています。つまり、自前主義から脱却し、外部資源の活用や外部組織との連携を通じてイノベーションの創出やビジネスモデル変革などの取り組みを加速することです。オープンイノベーション促進税制の対象となるのは、主に国内の大企業・中堅企業やCVCです。これらの企業がオープンイノベーションを目的として、スタートアップ企業の株式を取得する場合に取得価額の25%を課税所得から控除できる制度です。所得控除の上限額は、1件当たり12.5億円以下(対象法人1社・1年度当たり125億円以下)となっており、かなりの大型出資を想定した内容となっています。なお、適用を受けるためには、次の3つの要件を満たすことが条件となります。①1件当たりの出資金額下限として、大企業は1億円、中小企業は1千万円(海外企業への出資は一律5億円)②資本金増加を伴う現金出資(発行済株式の取得は対象外)、なお純投資は対象外③取得株式の3年以上(※4)の保有を予定していること